ビットコインにZcash型の匿名送金を、ルール変更なしで実現する論文が公開
研究者チームが、ビットコインのルールを変えずに「誰が誰にいくら送ったか」を隠して送金できる仕組みの論文を公開しました。暗号資産Zcashの設計を借りたものです。
この記事の要点
- 56ページの論文「Shielded Bitcoin」が9月24日付で公開された
- ゼロ知識証明という技術で、送金の正しさを中身を見せずに証明する
- 送金のタイミングや手数料は公開されたまま。入出金の仕組みは別の論文に委ねられている
何が起きたか
研究企業[alloc]initのクララ・シケルマン氏らのチームが、「Shielded Bitcoin(シールドされたビットコイン)」という56ページの論文を公開しました。日付は9月24日です。ビットコインのルールを変える「フォーク」をせずに、Zcashのような匿名性の高い送金を実現する設計を示しています。
どんな仕組み?
この仕組みでは、残高は暗号化された「ノート」という形で持ちます。送金のたびに、次のことを中身を見せずに証明します(ゼロ知識証明)。
- 送り手がそのノートを使う権利を持っていること
- 入ってくる額と出ていく額が釣り合っていること
同じノートを2回使う「二重払い」は、「ヌリファイア」という公開の目印で防ぎます。Zcashはこうしたチェックを自分のブロックチェーンで行いますが、Shielded Bitcoinはデータをビットコインに記録するだけで、チェックは「インデクサー」という別のソフトが行います。そのため、ビットコイン本体のルールを変えずに済むという考え方です。
まだ残る課題
- 送金のタイミング、手数料、入出力の数は公開される。隠せるのは「誰が誰にいくら」の部分
- 実際のBTCをこの仕組みに出し入れする方法は、別の論文に委ねられている
- 使っている証明方式は、最初の準備(信頼できるセットアップ)が正しく行われることが前提
- データを載せる方法が、ビットコインのソフトの設定変更に頼っており、この設定には賛否がある
論文には、機関投資家向けに、承認された入金であることを証明できる任意の仕組みも付録として描かれています。
日本の読者にとって
送金のプライバシーは、個人の安全を守る一方で、マネーロンダリング対策とぶつかりやすいテーマです。日本では過去に、匿名性の高い暗号資産が国内の交換業者で扱われなくなった経緯があります。技術の進歩と規制の考え方がどう折り合うのか、今後も注目されるテーマです。
なお、Zcash自体は米国や欧州で規制された投資商品として取引が始まっており、8月にはグレースケールのZcash ETFが米国で、9月22日には21SharesのZcash上場商品が欧州で取引を開始しています。匿名性の技術が、規制された市場の中でどう扱われていくのかも注目点です。
もとにした報道
- Decrypt「Researchers Publish 'Zcash-Style' Design for Private Bitcoin Transfers」(2026.09.25)
- CoinDesk「Bitcoin could soon get Zcash-style 'shielded' privacy without changing its rules」(2026.09.26)
海外の報道をもとに、3-NEWS編集部が日本語で独自にまとめています。
この記事は情報の整理と学習のためのもので、特定の暗号資産・金融商品の売買をすすめるものではありません。暗号資産は価格の変動が大きく、損失が出る可能性があります。